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しかしながら、現に歯科治療を契機に慢性疼痛や咬合の異常感、味覚障害や口腔内の異常感など様々な原因不明の症状が出現し、苦しんでいる患者さんが大勢おられます。
歯科領域における“medically and psychiatrically unexplained symptoms”。
これが当科、当分野(頭頸部心身医学分野)が真に対象とする病態であると考えています。精神疾患として精神科で治療すべき患者さんは適切な治療ルートにお願いし、真に歯科医師が対応すべき歯科臨床上の心身医学的問題に特化していきました。
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教育面では大学院のみならず学部学生の臨床実習にも力を入れています。この領域は眼に見えない症状を対象とするため、いくら教科書を読んでも理解できないことが多く、臨床の現場でこのような疾患を肌で感じることが何より大事と考えているからです。
ですから、患者さんが一番の先生です。実際に患者さんに接し、その苦痛の深刻さ、安易に「心因性」「治らない」などと片付けることの弊害、そして治療可能な疾患であることなどを大学院生や学部学生に体験してもらっています。
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臨床では、当科外来には、年間約500名の新患さんが受診され、紹介率は約80%でした。医科、歯科問わず、首都圏はもちろん名古屋や大阪、仙台、果ては北海道や九州といった遠方からもご紹介いただいています。より多くのニーズに応えるべく医療連携の推進と共に、さらなる治療成績と治療効率の向上が課題です。
東京でも患者さんの病態や治療反応性には大きな違いがなく、概ね九州でやってきたことが通用することが分かりました。ただ、医学部附属病院では目立たなかった非定型歯痛が当科ではかなり多いことが印象的でした。また歯科用インプラントの術後に様々な不快な口腔症状が生じて困っておられる患者さんがこちらでは目立ちました。難治例も少なくないのですが、1人1人を大事にし、約70%の患者さんでまずまず良好な経過が得られています。
さらに精神科の先生から口腔内セネストパチーの患者さんも案外多くご紹介いただきました。治療が難しい病気ですが、歯の治療の後から発症することも多く、歯科における切実なニーズがある以上、少しでもお役に立てるよう治療法の工夫に勤しんでいます。
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当科における新患(218名)の診断名内訳(2007年4月−9月)
| 疾患名 |
患者数
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割合
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| 舌痛症 |
98人
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45%
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| 口腔異常感症 |
41人
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19%
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| 非定型顔面(歯)痛 |
23人
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11%
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| 咬合異常感 |
15人
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7%
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| 顎関節症(歯科心身症) |
14人
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6%
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| 口腔セネストパチー |
13人
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6%
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| 口腔乾燥感 |
6人
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3%
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| 歯科治療恐怖 |
5人
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2%
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| その他 |
34人
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16%
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注:同一患者で疾患名の重複例あり。
注:その他には歯科心身症ではなかった患者が含まれる。
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当分野では「歯科心身症の治療技法の開発・改良および本症の病態解明」をテーマに、臨床と直結した研究を志向しています。従来「不定愁訴」として一括されがちであった、非器質的な口腔領域の感覚認知障害に対して、病態の本質に迫るような治療技法の開発・改良を目指し、日々の診療の中で試行錯誤を繰り返しながら、そこから得られた知見を元に本症の病態解明に取り組んでいるところです。
本症の病態に脳内神経回路の構造やそれらの接続パターンの関与が大きいことは間違いないと思われます。本学医学部PET核医学センターの協力も得て、SPECTなどによる本症患者の脳機能画像研究も始めました。まだ十分な症例数には達していませんが、現時点では臨床的には同じような舌痛症でも脳血流シンチにおける個人差が大きいことが示唆されています。
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