顎関節症は歯科領域では虫歯、歯槽膿漏についで多い疾患です。圧倒的に女性に多いです。 アメリカの疫学調査では、生涯罹患率が12%という報告があり、かなりポピュラーな疾患であることがわかります。 「口を開けようとすると痛い」「あごを動かすときに音がする」「あまり大きく口が開かない」「かみ合わせがおかしい」などを主訴として来院します。 頭痛、首や肩の痛み、めまい、舌の痛み、腰の痛みさらには抑うつ気分、不安などを随伴することも少なくありません。
顎関節症は、顎関節のずれや炎症などの器質的変化が認められる型だけでなく、器質的な異常がないのにもかかわらず持続する痛みを伴う型があります。後者の型が歯科心身症の範疇に入ります。 世界的に統一された顎関節症診断基準はありませんが、代表的なアメリカの診断基準を以下に抜粋します。
The Research Diagnostic Criteria for Temporomandibular Disoders (RDC/TMD) (顎関節症の診断基準)
グループI:
Muscle Diagnoses
- Myofascial Pain(筋膜痛)
- Myofascial Pain with Limited Opening (<40mm) (筋膜痛があり、40mm以下しか口が開かない)
グループII:Disc displacements (顎関節のずれ)
グループIII:Arthralgia, Arthritis, Arthrosis (関節痛、関節炎、関節症)
グループIの筋膜痛があり、器質的な原因が認められない場合に、歯科心身症としての顎関節症が疑われます。原因は明らかになっていませんが、他の歯科心身症疾患と同様に脳内での神経回路に混線が生じていると思われます。 マウスピースなどによるかみ合わせの矯正は効果的ではなく、抗うつ薬などによる薬物療法が有効な場合があります。
近年、顎関節症は線維筋痛症との合併が高頻度で起こるという報告が相次いでいます。私は、顎関節症と線維筋痛症の合併例でSNRIが有効であった症例を報告しています(Toyofuku A and Miyako H, Hum Psychopharmacol 19: 357-358, 2004)。
線維筋痛症と診断された患者の75%が顎関節症の基準を満たしていたという報告(Plesh O et al., J Rheumatol 23: 1948-1952, 1996) や 線維筋痛症あるいは慢性疲労症候群92名の調査で42%が顎関節症であった(Korszum A et al., Oral Surg Oral Med Oral Radiol Endod, 86: 416-420, 1998)などの報告があります。 |
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